草花いっぱいのアリエッティのお部屋にすっかり魅了され、人間の生活から拝借する普段何気ない物達がうまく活用されているのがとっても微笑ましく、すっかりツボにはまってしまいました。
描かれている背景がとても繊細で、色合いも美しく、葉の揺れ方や光の陰影...観ていてとても気持ちがよく癒されます。
小さな葉っぱ一枚をポットに入れたおいしそうなハーブティー、
お洋服に刺して剣のように使うまち針。貴重なローリエの葉、紫蘇の葉、角砂糖を楽しみに待っているお母さん。
切手やポスター...などなどどれもかわいくてかわいくて。
こういう世界が大好きな私はパンフに掲載されているアリエッティ達のお家の全貌を嬉々として眺めています(笑)
でも...ふと思うのです。
落としていった角砂糖を親切心でそっと置いていった翔。それがアリエッティを複雑な思いにさせます..。
代々受け継がれている小人達用に作られた豪華なハウス。ここに住めばよいのにと思ったりするのですが、
人間に見つかってはならないという掟の前にはそれらも無と化します。
彼ら小人達のために良かれと思ってすることが余計なお世話になってしまい、生活を破綻させてしまう...。
手助けするのではなく、そっとしておいた方が良い、彼らの立場になって考えなければならないということを思い知らされました。
それは小人の世界だけでなく、動物や自然などにも言えるのかもしれません。
見終わって、誰かが「盛り上がりがなかったね」と言っているのが聞こえました。
そう言われてみれば...と思いましたが、アリエッティ達の目線、視点から描いた映画なのでそう思うのかもしれません。
生死をかけて虫や動物と戦わなければならない、頭上いっぱいに覆う大きな人間に出会ってしまった時の恐怖、人間に捕らえられ、触られガラス瓶に閉じ込められてしまう恐怖、生活のために大冒険をして「借り」に行くこと...私達人間にはわかりえないことだから...。
帰り道、MOEという雑誌を買いました。「借りぐらしのアリエッティ」の特集でジブリの名作風景をめぐるおでかけガイドブック付き。
メアリー・ノートンの小人の冒険シリーズもこれから読む予定です。