METライブビューイング「椿姫」を観てきました。
声の調子が良くなさそうだったナタリー・デセイ...。
それでも素晴らしい歌声でした。
3幕の鬼気迫る演技に圧倒され、呼吸をすることを忘れ「自分」を忘れ、ヴィオレッタの心の中に入り込んでしまい辛かったです。
小さくなってしまった命の灯火をなんとか必死に保ちながらアルフレードに語りかける様は涙なくして観ることはできませんでした。
それと映像美。
映画ならではのカメラワークはオペラ鑑賞では味わえないものかもしれません。
白と黒のシンプルな大きな時計は無機質な感じで、異様な存在感を醸し出していてヴィオレッタの人生(命)の時間を表しているような気がして、見るたびに不安が押し寄せてきます。
真っ白な背景に真っ赤なドレスが映え、幸福な時はまさしく薔薇、薔薇、薔薇で染められています。
白の世界は彼女の心の中(悲哀、無力...)を表しているようにも思えました。
ナタリー・デセイ出演の作品を観るのは初めてなので、本来の彼女の歌声をぜひ聴いてみたいものです。
「マノン」、「椿姫」と続けて観ると...「恋愛」抜きでは語れない人生を実感です。
そしてそれは100通りも1000通りもあるということ...。
今度はドニゼッティ「愛の妙薬」を観たいです。