刺繍作家のヒトリゴト

刺繍作家。オートクチュール刺繍で製作する刺繍アートの紹介、日々の出来事を綴っています。

マノンを観る

METライブビューイング マスネ「マノン」を観てきました。

METでは2012年4月7日に上演されたものです。


私は2010年に同じ演出で英国ロイヤル・オペラ ジュール・マスネ作曲 『マノン』(東京文化会館)を鑑賞しているのですが、3階席でしたのでキャストの方々の表情を観ることはもちろんできませんでした。


今回映画館とはいえ、字幕付きであり、キャストの方々の表情も鑑賞できるのですからこれは観なくてはと思ったのです。

マノンはアンナ・ネトレプコさんですが、本当にはまり役ですね...。
今回のMETライブビューイングで彼女のお顔、表情、お姿などを拝見してますます実感です(笑)

歌声もさることながら妖艶さ、艶かしさ、男性を虜にする色気が全身からほとばしっていて女性の私も惚れ惚れしてしまいます。

舞台にいるのはまぎれもないマノン・レスコーと。


第2幕のデ・グリューの「神は幸せを軽く作られた」(だったと思います)という台詞がとても印象に残っています。
「幸せは儚い」という台詞も。

「幸せ」というものは長く続くものではないし、ずっと留まっているものでもないから...尊いのかもしれません。

ただ「幸せ」の種類はたくさんあるような気がするのです。

大小問わずどんなことでも「幸せ」と思えること、噛み締められること...。

「幸せ」と思える数を増やして「幸せ」を長く留まらせることができたら最高ですね。


考えさせられる第2幕です。

それと、デ・グリューの誠実さ、人柄に感動を覚えました。


2010年に鑑賞した時はデ・グリュー役はマシュー・ポレンザーニ氏でしたが、今回はピョートル・ベチャワ氏です。
ピョートル・ベチャワ氏の方が私は好きかも...(笑)


第3幕のサン・シュルピスの神学校ではマノンが「誘惑のアリア」を歌いますが、デ・グリューのことを思うと身を切られるようで残酷で、苦悩葛藤し、もがいているデ・グリューを観ているのが苦しくなってしまいました。
でもこのシーンは二人の愛の深さが感じられるから大好きです。




自由奔放に欲望のままに生きて、誰もが魅了されてしまう美貌の持ち主のマノン...愛する人と共に生きていくということができなかったことに切なさを覚えますが、デ・グリューの心の中に一生マノンが生き続けるのかと思うと...こちらもまた悲しいです。


映画館とはいえ、拍手しそうになり、ブラボーと言いそうになり...(笑)
心の琴線を震わせてくれた4時間8分でした。

来週はMETライブビューイング ヴェルディ「椿姫」を鑑賞予定です。



うーん、死ぬまでに海外のオペラハウスで鑑賞したいですね...(笑)
とびっきり素敵なドレスを着て...(笑)