刺繍作家のひとりごと

刺繍作家。オートクチュール刺繍で製作する刺繍アートの紹介、日々の出来事を綴っています。

作品への想い

先日、私の作品が旅立って行きました。

日本から飛行機に乗って上空1万メートルを飛行し、異国の地へ...と思うと心が嬉しさで震え感激致しました。


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と同時に一抹の寂しさも生まれました。
一つ一つの作品が自分の子供のような、娘のような存在になっているのです。

そして、私は自分自身に問うてみました。
家の中に大事に留めておくのと、私の作品を大好きになって下さった方の元へ旅立っていくのとどちらが良いのかしら?と。
出てきた答えは...自分の生きている証がどこか別の場所で残る、存在している方が断然に格段に嬉しい...なのです。

旅立ったお客様のお家で作品とお客様とそのご家族と皆んなで一つ屋根の下にいる様を想像するだけで胸がいっぱいになります。

そして、私の作品を大好きになって下さってありがとうございます、自分の生み出すモノへの想いを感じで下さってありがとうございますという気持ちになります。

ただ、ネットを通して海外へと遠くに旅立つと...言葉の壁もありどのような想いで購入して下さっているのかがわからなくて正直不安な気持ちもちょっとあったりしますが、私の代わり?に海外へ移住してその国に、土地に溶け込む様はとてもエキサイティングでもあります。


...ということをここ数日ずっとずっと考えていました。
それを言葉にしてこちらのブログに書きたくなりました。
だからとても長文になっています。



私がオートクチュール刺繍(リュネヴィルクロシェ刺繍)を知ったのは「クレールの刺繍」という映画です。

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刺繍は昔から趣味でたまにチクチクしていましたが、本格的になったのがartist inの矢崎順子さん主催の「刺繍Cafe」というワークショップに参加してからです。

規則正しくというものではなく、上手下手ではなく、自由に絵を描くようにステッチすることの楽しさを教えて下さり、今までの自分が持っていた刺繍の概念を覆され(良い意味で)、大きな大きな輝く光の玉が突然私の目の前に現れてキラキラ輝きだしたのです。

そこから毎日毎日刺繍です(笑)

その先にオートクチュール刺繍がありました。
パリにMAISON LESAGE(シャネルの傘下)という刺繍工房があり、そのオートクチュール刺繍を教える学校、エコール・ルサージュがあります。

そちらで技術を習得されたお二人が立ち上げられたのが「オートクチュール刺繍レンミッコ」(アトリエ&スクール)です。
日本でのコレクション、アーティストの方の衣装、書籍出版、スクール他、様々なお仕事をされています。
ただいま代官山蔦屋書店にて「レンミッコ クチュール仕立ての刺繡ブレード展」を開催中(2/20まで)です。


オートクチュール刺繍を学ばれた方々は趣味でご自分のバッグやアクセサリーを作ったり、お仕事としてアクセサリー(ブローチなど)の制作販売、アート界へ、衣装制作など各々の道へ進んで活躍されています。

私はリュネヴィルクロシェ刺繍(broderie au crochet de Lunéville)と針の刺繍 (broderie à l'aiguille)と両方で制作しています。
そしてどういうわけか「女性」を制作しています(笑)
なぜ?とよく聞かれるのですが、作りたいので作っているというのが正直なところです。
目標はファッション雑誌に載っているような女性を作りたいなと思っているのですが、なかなか到達できません(笑)

女性はいくらでも着飾ることができるし、おしゃれを楽しむことができるし、メイクで変身も可能ですが、実際のところはなかなか自分のしたいようになりたいようにはできないのが現実かなと思います。
持って生まれた雰囲気や容姿を変えることはできないですが(整形などありますけど)、刺繍では糸とビーズや様々な素材で可愛い・華やか・格好いい・艶やか...、性格や想いや思考などなど様々な「女性」を創造することができます。
髪の色も自由、顔や頬や目にビーズやスパンコール、ラメ、ラインストーンをつけたり、瞳の色を変えてみたり、お花のヘッドドレスをつけてみたり...。

それらが私にはとても楽しくて魅力的なのです。

ずっとずっとおばあちゃんになっても続けていきたい...それでも私の作る「女性」を変えることなく、可愛い素敵な女性を作っていきたいと思っています。

そのためには常に目、心と気持ちを「今」と「トレンド」に向けて、好奇心と向上心を常に持ち続けていなくては...と思っています。

ただいまひたすら黙々制作中です。
作品のフォトブック(ZINE)のPart2も制作中です。

今年も頑張ります!