刺繍作家のひとりごと

刺繍作家。オートクチュール刺繍で製作する刺繍アートの紹介、日々の出来事を綴っています。

リリーの死


昨日、実家のリリーが亡くなりました。
今月27日に11歳のお誕生日を迎えるはずでした。

胆管癌を手術で切除し、術後4日間は食欲旺盛でもうすぐ退院というところで、突然体内で出血が起こり、貧血を抑えるために輸血をしていたのですがなかなか治まらず、その上肺水腫も引き起こし心不全に至ったらしいです。母から逐一報告を受けたりしていたのですがこの急変ぶりに絶句し、リリーの火葬に立ち会うため急遽藤沢に出向きました。
藤沢市で行っている石名坂のペット火葬場でリリーとお別れすることになってしまったのです。
私は動物をペットを見送るというのは初めてで、自分の気持ちがどうなるのか、どうなっていくのかが怖かったのですが、片隅にある強い自分が前面に出てきてきちんと見届けないといけないと背中を押されました。


私が実家を出てから飼い始めたので私が直接育てていたわけではないのですが、実家へ幾度にジャンプして大喜びで迎えてくれて、抱っこしてとせがんだり、食べているとちょーだいちょーだいとおねだりして...。
とてもかわいくて愛らしくて人なつっこい社交的なリリーでした。

喪失感とともにリリーとの生活の幕が閉じられた寂しさと空虚感、リリーのいない新たな生活を始めなければならないという戸惑いが家の中を覆い、母と弟の落胆ぶりも伝わってきて私は押しつぶされそうでした。

リリーでこれでは、ブルーの時はどうなるのだろう?と恐ろしさで身が震えてしまいました。

石名坂の火葬場は静かでスタッフの方も数名ほど。このしんと静まり返った質素な感じが大変ありがたかったです。
白い箱の中で眠っているリリーを瞳に強く焼き付けるかのようにじっと見つめ、時折頭をなでては言葉をかけます。瞼の隙間から見える瞳は生前のままではあるけれど悲しいかな微動だにしない”物”と化していました。

母と弟と私3人とリリー。第三者がいない5分間ほどの家族だけの最後の時間を得られたことに感謝し、目の前にあるのはリリーの抜け殻、魂は生きている、家の中にいると心の中で何度も何度も言い聞かせました。


母が「怒らなければよかったな」「もっと早く気づいてあげれば...」と何度も何度もつぶやいていました。

「後悔先に立たず」という言葉が頭をよぎります。

ブルーも12歳。後悔しないようにブルーに接していきたい、やれることはなんでもやってあげたい、ブルーの人生をできるだけ幸せなものにしてあげたいと思っています。
ここのお家に来てよかったよ、とってもとっても楽しかったよ、おいしい物もたくさん食べて満足だったよ...と思ってくれたらこれほど嬉しいことはありません。


しかし10年という歳月のなんと短いこと...。