祖父は徳川さんの所で働いていて、父は子供の頃お屋敷のお庭でよく遊んでいたらしいです。
目白の町をとても愛していて、いつも懐かしんでいました。
洋館が八ヶ岳へ移築されるという話を嬉々と私達に話してくれていたのですが、「高原へいらっしゃい」のドラマが始まるまですっかり忘れていました。
八ヶ岳高原ロッジへ宿泊し、遊歩道をゆっくり歩いてヒュッテへ向かいます。途中、険しい所があったりと鬱蒼と茂った木々の間を縫うように歩いて行きます。
ヒュッテが目の前に現れた時、私はただただ立ち尽くし、体が震えるのを感じました。
柱となっている木はとても頑丈そうで、経て来た年月を全く感じさせません。家の中のシャンデリアも当時のままだそうです。
良い物はずっと長く使い続けられるのだなと実感です。
中には「赤坂離宮」が入っていて、私達はそこで夕食をとりました。窓から見えるお庭の芝生の色がみずみずしく、焦げ茶色の柱ととてもよく似合っていました。
子供の頃の父はお庭で遊びながら、この洋館をどのように見つめていたのでしょうか、
その洋館の中で母と娘の私が食事をしている.....不思議な感じがしました。
唯一の心残りは、父を連れて来れなかったこと。
それでも、どこか遠くからでも見ている、私達とこの時間を共有している、とそう思いたいです。
そうであって欲しいな...。