My diary

私の刺繍の作品の紹介、日々の出来事を綴っています

読書&音楽三昧の日々


肉体の悪魔 (新潮文庫)


6月パリ&ヴィルフランシュ=シュル=メールへ行く予定(ジャン・コクトー美術館訪問、Hotel Welcome宿泊)でジャン・コクトーの世界にどっぷり浸かってこようと思っています。

ジャン・コクトーが阿片に溺れてしまう原因となったのはラディゲの死。
自伝と言われている彼レイモン・ラディゲの本「肉体の悪魔」(新潮社)を読んでみることにしました。


少年の純真無垢な複雑な愛情表現、冷徹、エゴイスティックさほどやっかいでとまどってしまうものはないなと思ってしまいます。でもその危うい感に心引きつけられるのもまた事実。14歳で好きな女性(マルト)との静かな沈黙の時間を幸せと感じることができる感性。私はこの本1冊ですっかりラディゲという男性にはまってしまいました。


キラリと光る透明な鋭利な散り散りのガラスの破片が胸に突き刺さる時もあれば、硬い多角形のガラスの球体が時々によって光り方を変えてくるようなつかみ所のない彼の心。



それゆえ、大人の心の汚さ、いやらしさが際立ち世間体を気にして腫れ物に触るような、それぞれ自分の中に封じ込めていた様がどうにも許せません。それが戦争でそうさせているのか、大人特有のものなのかわからないけれど二人の愛を悲しい結末に導いてしまったということがやりきれないのです。
それが不倫という形であっても。


悲しいかなマルトの夫ジャックはこれからも何も知らされずに子供(「僕」とマルトの)を育て生きていくのでしょう。
でも知らない方が幸せならばその方が良いのかもしれません。
「思いやりの嘘」というのもあるから。


私は死後は「無」の方に恐怖、喪失感を感じ意識が存在していてほしい(親、知人や友人、愛する人など)と願うのですが、彼の場合はマルトの死後が無であってほしいというのです。


身を切られるようなラスト...息が苦しくなってお腹の奥から込み上げてくる熱いものが顔、頭の上にまで昇ってきてそれと同時に涙も出てきてしかたありませんでした。
マルトが「僕」の名を呼びながら死んでいったこと...それは自伝であるならばレイモン・ラディゲのレイモン?

この部分は創作であって欲しい...そう願わずにはいられません。

外出先でちょうど読み終えてしまったので涙を堪えるのに必死の私でした。
家で読めばよかったと大後悔です。


ラディゲは20歳という若さでこの世を去ってしまいましたが、その短き人生の中にこのような恋愛があったことにほっとします。それがたとえどんなものであっても。


以下は私の心の中に残った文章です

あらゆる愛撫は、ひとが思っているように、愛情の小銭ではない。それどころか、情熱だけが使用することのできる最も貴重な貨幣である。僕は、自分の友情にも愛撫は許されるものと信じていた。だが、愛情のみが女性に対する権利をわれわれに与えてくれるものではないかと、僕は真剣に絶望を感じはじめていた。僕は考えた。愛情などはなくても済ませるが、マルトに対していかなる権利も持たないということは絶対に許せない、と。そこで、この権利を得るために、口惜しいとは思いながらも、愛する決心をしさえした。僕はマルトを欲していたが、自分ではそれがわかっていなかったのだ。

マルト!僕の嫉妬は墓のかなたにまで彼女を追いかけ、死後は無であることを僕はねがっていた。実際、愛する人が、われわれの加わっていない饗宴の席に、大勢の人に取り囲まれてつらなっているのは、耐えがたいことである。僕の心は、まだ未来のことなどは考えない年ごろであった。そうだ、僕がマルトのためにねがっていたものは、いつの日か彼女にめぐりあえる新しい世界ではなくて、むしろ無であった。

光文社から出ている新訳も読んでみようと思っています。
この「肉体の悪魔」、村上春樹さんが訳したらどうなるのでしょう?
読んでみたいですね。

この本は様々な訳し方、表現解釈がありそうなので...。




さて、読み待ちの本があと2冊あります(笑)


フラニーとズーイ (新潮文庫)   プルーフ・オブ・ヘヴン--脳神経外科医が見た死後の世界

フラニーとズーイー」、「プルーフ・オブ・ヘヴン--脳神経外科医が見た死後の世界」。

フラニーとズーイー」は村上春樹さんの訳ですが、学生の頃、新潮社から出ている「フラニーとゾーイー」を読んでいて私のバイブル本、大好きな作品です。
ゾーイーのようなお兄さんがいたらなあとずっと思っていました(笑)



それと、ここ最近音楽も聴きまくっています。

OneRepublic、Ingrid Michaelson、Imagine Dragons、Shady Bard、The Script 、Courrier...すべて洋楽です。

部屋中、彼らの曲でいっぱい(笑)